こころづくし
心づくし

冒頭文

終戦後間もなく組織されたB劇団に、踊りもするし、歌もうたうし、芝居もするというような種類の女優が五、六人いた。 その中の二人は他の三、四人よりも年が上で、いずれも二十五、六。前々からきまった男を持っていた。一人は年も四十を越した一座の興行師の妾で、三ツになる子供がある。他の一人は銀座の或(ある)ダンスホールでクラリネットを吹いている音楽師を恋人にしていたが、あとの三、四人は年も二十になるかなら

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論 第六十三年第五号」中央公論社、1948(昭和23)年5月1日

底本

  • 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2019(令和元)年8月20日