ばいやくファン
売薬ファン

冒頭文

先に言つて置く。僕は、賣藥ファンといふ奴、それも、ミーちやんハーちやん的のファンで、理窟も何もない、たゞ、いろんな藥を服みたくつてしようがない性分である。 たとへば、錠劑の、眞つ赤な色が氣に入つたとか、グリーンが美しいから、好きだとか言つて、愛用するといふくちだ。 隨分、幼稚で、お話にならない。 今でも、毎日五六種類から、十種類ぐらゐの賣藥を服む。 何時頃から、かういふ癖がついたの

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝春秋 昭和三十年二月號」文藝春秋新社、1955(昭和30)年2月1日

底本

  • 文藝春秋 昭和三十年二月號
  • 文藝春秋新社
  • 1955(昭和30)年2月1日