やねのうえ
屋根の上

冒頭文

かちんと、羽子板(はごいた)にはねられると、羽子(はご)は、うんと高く飛び上(あが)ってみました。それから、また板に戻ってくると、こんどはもっと思いきって高く飛び上りました。何度も何度も飛び上っているうちに、ふと羽子は屋根の樋(とい)のところにひっかかってしまいました。はじめ羽子はくるっと廻(まわ)って、わけなく下に飛び降りようとしました。しかし、そう思うばかりで、身体(からだ)がちょっとも動きま

文字遣い

新字新仮名

初出

「近代文学」近代文学社、1951(昭和26)年8月号

底本

  • 原民喜童話集
  • イニュニック
  • 2017(平成29)年11月15日