ぺんぎんどりのうた
ペンギン鳥の歌

冒頭文

森は雪におおわれて真白(まっしろ)になりました。高い大きな枯木(かれき)の上で、カラスが拡声器をすえて、今しきりに、こんなことを喋(しゃべ)っています。 ああああ ただ今 試験中ですああああ ただ今 試験中ですああああ ただ今 試験中ですいつまで待っていても、ああああ と云(い)うばっかしなので、小鳥たちは顔を見あわせてくすくす笑いました。でも、何か始まるだろうと思って待っていました。 あああ

文字遣い

新字新仮名

初出

「近代文学 8月号」近代文学社、1951(昭和26)年8月1日

底本

  • 原民喜童話集
  • イニュニック
  • 2017(平成29)年11月15日