かんらく
歓楽

冒頭文

一 ………人は幾度(いくたび)も戀する事が出來るだらうか。唯(たつ)た一度しか出來ないと、女性は必ず云ひ張るに違ひない。男でも古臭いロマンチツクな夢から覺めないものは、矢張(やは)り同じやうな事を云ふかも知れない。誰(たれ)でも戀に熱してゐる最中にはそれが生涯の戀の最初最終であるらしく感ずるのは當然の事で。もし其の戀に成功してしまつた後、一生涯それ以上熱烈な感激を覺えずにしまつたなら、我輩はさう

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「新小説 第十四年第七卷」春陽堂、1909(明治42)年7月1日

底本

  • 荷風全集第四卷
  • 岩波書店
  • 1964(昭和39)年8月12日