かわたれどき |
| かはたれ時 |
冒頭文
黄昏を雀色時(すずめいろどき)ということは、誰が言い始めたか知らぬが、日本人でなければこしらえられぬ新語であった。雀の羽がどんな色をしているかなどは、知らぬ者もないようなものの、さてそれを言葉に表わそうとすると、だんだんにぼんやりして来る。これがちょうど又夕方の心持でもあった。すなわち夕方が雀の色をしているゆえに、そう言ったのでないと思われる。古くからの日本語の中にも、この心持は相応によく表われて
文字遣い
新字新仮名
初出
「ごぎやう 第九巻第一一号」御形詩社、1930(昭和5)年11月5日
底本
- 妖怪談義
- 講談社学術文庫、講談社
- 1977(昭和52)年4月10日