患者としてはこの病院内で一番の古顏となつたかはりに、私は思の外(ほか)だんだん快(よ)くなつて行つた。 もう春も近づいた。青い澄んだ空は、それをまじまじと眺めてゐる私に眩(まぶ)しさを教へる。さうしてついとその窓を掠(かす)めて行く何鳥かの羽裏がちらりと光る。私はむくむくと床をぬけ出して、そのぢぢむさい姿を日向(ひなた)に曝(さら)し、人並に、否病めるが故に更により多くの日光を浴びようと