ちょうじ(むろうさいせい)
弔辞(室生犀星)

冒頭文

先夜室生犀星君の逝去を電話で最初に知らせて来た或る新聞記者は、同君についての私の感想を求めた。が、私は咄嗟に返答することが出来なかったので固く断った。私は現代作家論を幾つも書いているが、犀星論はまだ一度も書いたことがなかったように思っている。それについていろいろ考えながら眠りに就いた。翌日弔問のために、氏の住所を記した紙片を持って出掛けたが、一二度新聞社の自動車で、氏の家の前に立ち寄っただけなので

文字遣い

新字新仮名

初出

「心 第十五巻第五号」平凡社、1962(昭和37)年5月1日

底本

  • 白鳥随筆 坪内祐三選
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2015(平成27)年5月8日