「あざぶざっき」じょ
「麻布襍記」叙

冒頭文

麻布襍記収むるところの小説雑録随筆のたぐい皆そのおりおり月刊文学雑誌の嘱を受けて一時の責を塞ぎしものに過ぎず。五とせ以前築地より麻布に移りすみてここに筆をとりしもの多ければかくは名づけたるなり。思えば麻布に移りてよりこの五とせが間には悲しきことの多かりき。厳師森夫子は千朶山房(せんださんぼう)に簀(さく)を易(こ)えたまい又莫逆の友九穂井上君は飄然として道山に帰りぬ。爾来われは教を請うべき師長もな

文字遣い

新字新仮名

初出

「麻布襍記」春陽堂、1924(大正13)年9月23日

底本

  • 麻布襍記 ――附・自選荷風百句
  • 中公文庫、中央公論新社
  • 2018(平成30)年7月25日