ふっくりとしたひとがら
ふつくりとした人柄

冒頭文

北原氏は、私の知つてゐる範圍で、最もよい感じをもつた人です。あの人の感じを一言で言へば「ふつくりとした人柄」でせう。私のやうないらいらした性格の人間は、一般に人嫌ひが多いので、友人といふものがめつたにできません。たいていの人とは逢つても落着いて話ができません。然るに北原氏には、私のいらいらがたつぷりと這入るだけの餘裕があります。ですから私はあの人と話をしてゐるときが、心が落着いていちばん樂々します

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「新潮 第二十八卷第四號」1918(大正7)年4月号

底本

  • 萩原朔太郎全集 第八卷
  • 筑摩書房
  • 1976(昭和51)年7月25日