むろうさいせいのいんしょう
室生犀星の印象

冒頭文

室生とはあまり知りすぎて居るので、却つて印象といふやうな者がない。私が始めて彼の名を知つたのは、北原白秋氏の雜誌ザムボア(今のザムボアではない)で、彼の敍情小曲を見た時からだ。その時分は僕等もまた少年時代の心もちがぬけないで、たいさう純樸な若々しい情緒をもつて居たので、お互に浪漫的(ロマンチツク)な小曲をかいてゐた。言はば此の時代は、あの「コサツク」を書いたトルストイ、「貧しき人々」を書いたドスト

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「秀才文壇 第十八年第六號」1918(大正7)年6月号

底本

  • 萩原朔太郎全集 第八卷
  • 筑摩書房
  • 1976(昭和51)年7月25日