あくたがわりゅうのすけのついおく |
| 芥川竜之介の追憶 |
冒頭文
この頃になつて、僕は始めて芥川君の全集を通讀した。ずゐぶん僕は、生前に於て氏と議論をし、時には爭鬪的にまで、意見の相違を鬪はしたりした。だが實際のところを告白すると、僕はあまり多く彼の作品を讀んでゐなかつたのだ。そこで二言目には、芥川君から手きびしく反撃された。「君は僕の作品をちつとも讀んでゐないぢやないか。」「君がもし、いつか僕の全集をよんでくれたらなあ!」 實際、僕は芥川君と交際しながら、
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「文藝春秋 第六卷第十號」1928(昭和3)年10月号
底本
- 萩原朔太郎全集 第八卷
- 筑摩書房
- 1976(昭和51)年7月25日