わがあいするしじんのでんき(さん) ――はぎわらさくたろう――
わが愛する詩人の伝記(三) ――萩原朔太郎――

冒頭文

萩原朔太郎の長女の葉子さんが、この頃或る同人雑誌に父朔太郎の思い出という一文を掲載、私はそれを読んで文章の巧みさがよく父朔太郎の手をにぎり締めていること、そして娘というものがいかに父親を油断なく、見守り続けているかに感心した。 葉子さんは三十過ぎだがボンヤリと鳥渡(ちょっと)見たところでは、気の善すぎる、だまされやすく騙してみたいような美しさを持っている人だが、この父朔太郎の思い出をくぐり抜け

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号

底本

  • 婦人公論 第四十三巻第三号
  • 中央公論社
  • 1958(昭和33)年3月号