がしゅう
画集

冒頭文

落日 湖のうへに、赤い秋の落日があつた。ほんとに、なごやかな一日であつたし、あんな、たつぷりした入日を見たことはないと、お前も云つた。いつまでも、あの日輪のすがたは残つた、紙の上に、心の上に、そして、お前が死んでからは、はつきりと夢の中に。 故園 土蔵の跡の石に囲まれた菜園、ここは一段と高く、とぼしい緑を風に晒してゐる。わたしはさまざまなことをおもひだす。薄暗い土蔵の小さな窓から仄かに見え

文字遣い

新字旧仮名

初出

落日「高原」鳳文書林、1948(昭和23)年7月号<br>故園「高原」鳳文書林、1948(昭和23)年7月号<br>記憶「高原」鳳文書林、1948(昭和23)年7月号<br>植物園「高原」鳳文書林、1948(昭和23)年7月号<br>黒すみれ「高原」鳳文書林、1948(昭和23)年7月号<br>真昼「高原」鳳文書林、1948(昭和23)年7月号<br>露「高原」鳳文書林、1948(昭和23)年7月号<br>部屋「高原」鳳文書林、1948(昭和23)年7月号<br>一つの星に「高原」鳳文書林、1948(昭和23)年7月号<br>はつ夏「晩夏」足利書院、1948(昭和23)年5月号<br>気鬱「晩夏」足利書院、1948(昭和23)年5月号<br>祈り「晩夏」足利書院、1948(昭和23)年5月号<br>夜「高原」鳳文書林、1949(昭和24)年5月号<br>死について「高原」鳳文書林、1949(昭和24)年5月号<br>冬「高原」鳳文書林、1949(昭和24)年5月号

底本

  • 原民喜全詩集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2015(平成27)年7月16日