〈わがあいするしじんのでんき〉(ほい) |
| 〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺) |
冒頭文
佐藤惣之助 詩人佐藤惣之助は明治二十三年十二月三日、川崎市砂子の宿場脇本陣の旧家に生れ、私より一つ歳下であった。砂子の彼の家のうしろは早くから工業地帯に変っていたが、野趣ある草原には小さな鮠(はや)や川鰕(えび)をうかばせる小川があり、海は近く蘆荻の沼沢地方が続いて、佐藤はそこらで植物昆虫魚介にしたしみ、彼のいう泥のついた娘達とも遊んだ。四歳にして釣を嗜み、十二歳で発句を学んだという自伝も嘘ではな
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人公論 第四十三巻第五号」1958(昭和33)年5月号
底本
- 室生犀星全集 別卷二
- 新潮社
- 1968(昭和43)年1月30日