かがやけるあさ
輝ける朝

冒頭文

さうだ、私はそれを忘れないうちに書きとめて置かう。この輝いた喜の消え去らぬうちに、このさわやかな心持のうすれゆかぬうちに……私はこの朝の氣持を、決して忘れる事はないであらうけれども、だからといつて書きとめて置く事の決して無益なことではあるまいと思ふ。却つて私の病に於ける無爲の時間が、その爲に生きこそはしても。 それは昨夜のことであつた。……いや私は先づいきなりその事に筆を進める前に、つい

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 叢書『青踏』の女たち 第10巻『水野仙子集』
  • 不二出版
  • 1986(昭和61)年4月25日復刻版第1刷