じょうじょうしゃくりょう
情状酌量

冒頭文

フランソアズは倅(せがれ)が捕縛されたということを新聞で読んでぎょっとした。 けれど、初めのうちはとても真実と思えなかった。それはあまりに途方もない出来事であったから。 可愛い倅はごく内気な律儀者で、こないだの復活祭の休暇(やすみ)には、彼女の許へ帰省していた。そして隊へ帰って行ってからまだ一月と経たぬのに、その者が賊を働いた上に殺人罪を犯したということがどうして信じられよう。 倅が兵

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1923(大正12)年8月号

底本

  • 夜鳥
  • 創元推理文庫、東京創元社
  • 2003(平成15)年2月14日