ごしん
誤診

冒頭文

「先生」 とその男はいった。 「僕に結核があるかどうか、御診察の上で、包みかくしのないところを仰(おっ)しゃって下さい。大丈夫ですよ、僕は確(しっ)かりしています。どんな診断を聞かされたって平気なもんです。第一、先生はぶちまけていって下さる義務があります。それに、僕は自分の病状を知っておく権利があると思う。ですから是非聞かして頂きたいんです」 ドクトルは一寸ためらったが、肱掛椅子を退(ず)らかし

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1926(大正15)年9月号

底本

  • 夜鳥
  • 創元推理文庫、東京創元社
  • 2003(平成15)年2月14日