うもんとりものちょう 23 ゆうれいすい
右門捕物帖 23 幽霊水

冒頭文

1 その二十三番てがらです。 時は真夏。それもお盆のまえです。なにしろ暑い。旧暦だからちょうど土用さなかです。だから、なおさら暑い。 「べらぼうめ、心がけが違うんだ、心がけがな。おいらは日ごろ善根を施してあるんで、ちゃあんとこういうとき、暑くねえようにお天道さまが特別にかばってくださるんだ。というものの——」 いばってみたが、伝六とて暑いのに変わりはないのです。しかし、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 右門捕物帖(三)
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1982(昭和57)年9月15日