つきにほえる 01 じょ |
| 月に吠える 01 序 |
冒頭文
萩原君。 何と云つても私は君を愛する。さうして室生君を。それは何と云つても素直な優しい愛だ。いつまでもそれは永続するもので、いつでも同じ温かさを保つてゆかれる愛だ。此の三人の生命を通じ、縦(よ)しそこにそれぞれ天稟の相違はあつても、何と云つてもおのづからひとつ流の交感がある。私は君達を思ふ時、いつでも同じ泉の底から更に新らしく湧き出してくる水の清(すず)しさを感ずる。限りなき親しさと驚きの眼を
文字遣い
新字旧仮名
初出
「讀賣新聞」1917(大正6)年1月14日
底本
- 現代詩文庫 1009 萩原朔太郎
- 思潮社
- 1975(昭和50)年10月10日