けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

冒頭文

去年十二月一日より東京に開かれたる全国中学校長会議において、高田新文相が特に訓示を与えて立憲思想養成の急務を説きたる事と、水戸中学校長菊池謙二郎氏が起(た)って大隈内閣の居据(いすわ)りと立憲思想との関係の説明を求めて文相に肉薄した事とは、著しく世間の耳目を惹いた。訓示の一節に曰(いわ)く。 (上略)中等教育ニハ種々ノ方針アルベキモ、余ノ見解ヲ以テスレバ、立憲思想ノ養成ヲ刻下ノ急務ナリト信ズ。

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

底本

  • 吉野作造評論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1975(昭和50)年7月16日