とざんしゅみ
登山趣味

冒頭文

日本は四面海に囲まれていながら、海洋の文学が乏しい。海上生活を描いた傑(すぐ)れた文章が無い。しかし、山岳に関する文章は、明治以後にも可成り現れているようである。 私は山を好む。それは山の空気は下界とは異り、爽やかであるためである。山を好むと云っても、身体羸弱(るいじゃく)であるため、実際、高山へ登ったことは殆んど無いのだ。最もよく登った山は故郷の後ろの山で、年少の頃から老年の今日にいたるまで

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」1935(昭和10)年2月2日夕刊

底本

  • 紀行とエッセーで読む 作家の山旅
  • ヤマケイ文庫、山と溪谷社
  • 2017(平成29)年3月1日