しょとくにん むろおさいせい
所得人 室生犀星

冒頭文

世には二種屬の人間がある。一方の種屬の者は、いつもムダな死金を使ひ、時間を空費し、無益に精力を消耗して、人生を虚妄の悔恨に終つてしまふ。彼等は「人生の浪費者」である。反對に他の者は、物質上にも精神上にも、巧みにそれの最高能率を利用して、人生を最も有意義に處世する。彼等は「人生の所得者」である。 ところでこの前者の範疇は僕であり、後者の典型は室生犀星である。室生犀星は、自ら風流人を以て任じ、且つ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝 第四卷第六號」1936(昭和11)年6月号

底本

  • 萩原朔太郎全集 第九卷
  • 筑摩書房
  • 1976(昭和51)年5月25日