しにこくべつしたむろおさいせいくんへ
詩に告別した室生犀星君へ

冒頭文

先に詩集「鐵集」で、これが最後の詩集であると序文した室生君は、いよいよ雜誌に公開して詩への告別を宣言した。感情詩社の昔から、僕と手をたづさへて詩壇に出て、最初の出發から今日まで、唯一の詩友として同伴して來た室生君が、最後の捨臺詞を殘して告別したのは、僕にとつて心寂しく、跡に一人殘された旅の秋風が身にしみて來る。 室生君の告別演説には、自己に對する反省と苛責とがあり、それが外部に八當りして、多少

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝 第二卷第十號」1934(昭和9)年10月号

底本

  • 萩原朔太郎全集 第九卷
  • 筑摩書房
  • 1976(昭和51)年5月25日