りょうしのむすめ
漁師の娘

冒頭文

一 常陸(ひたち)の国霞が浦の南に、浮島(うきしま)と云って、周囲(めぐり)三里の細長い島がある。 二百あまりの家と云う家はずらり西側に並んで、向う岸との間は先ず隅田川位、おおいと呼べば応(おう)と答えて渡守(わたしもり)が舟を出す位だが、東側は唯(ただ)もう山と畠で持切って、それから向うへは波の上一里半、麻生天王崎(あそうてんのうさき)の大松(おおまつ)も、女扇(おんなおうぎ)の絵に画(か

文字遣い

新字新仮名

初出

「家庭雑誌」1897(明治30)年1月25日

底本

  • 梅一輪・湘南雑筆(抄)徳冨蘆花作品集 吉田正信編
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2008(平成20)年1月10日