うもんとりものちょう 21 つまごいざかのかい |
右門捕物帖 21 妻恋坂の怪 |
冒頭文
1 ——その第二十一番てがらです。 事件の起きたのは、年を越して、それも松の内の二日(ふつか)。 「めでたさも中ぐらいなりおらが春」——というのが俳諧寺一茶(はいかいじいっさ)の句にありますが、中ぐらいでも、下の下の下々であっても、やりくり、七転八倒、夜逃げの名人であろうと、年が明けたとならばともかくもめでたいというよりいいようはない。ましてや、上の上の上々の大名諸侯が、言い
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 右門捕物帖(三)
- 春陽文庫、春陽堂書店
- 1982(昭和57)年9月15日