どうてい
道程

冒頭文

どこかに通じてる大道を僕は歩いてゐるのぢやない僕の前に道はない僕の後ろに道は出來る道は僕のふみしだいて來た足あとだだから道の最端にいつでも僕は立つてゐる何といふ曲りくねり迷ひまよつた道だらう自墮落に消え滅びかけたあの道絶望に閉ぢ込められたあの道幼い苦惱にもみつぶされたあの道ふり返つてみると自分の道は戰慄に値ひする四離滅裂な又むざんな此の光景を見て誰がこれを生命(いのち)の道と信ずるだらうそれだのに

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「美の廢墟第六號」美の廢墟社、1914(大正3)年3月5日

底本

  • 美の廢墟第六號
  • 美の廢墟社
  • 1914(大正3)年3月5日