ねぎしあんほうもんのき |
| 根岸庵訪問の記 |
冒頭文
近来不良勝なる先生の病情片時も心にかからぬ事はない。日本新聞に墨汁一滴が出る様になってから猶一層である。或は喜び或は悲み日毎に心を労している いくらか文章に勢が見えて元気なことなどの出た日には。これ位ならばなどと心細い中にも少しく胸が休まるような感じがするものの実際は先生の病情少しも文章の上では推測が出来ないのが普通であるのだ。歌の会俳句の会すべてを止めて余り人にこられては困ると云うようになってよ
文字遣い
新字新仮名
初出
「俳星 第二卷第一號」俳星発行所、1901(明治34)年3月12日
底本
- 左千夫全集 第二卷
- 岩波書店
- 1976(昭和51)年11月25日