ぎゅうしゃのにっき |
| 牛舎の日記 |
冒頭文
一月十日 午前運動の為(た)め亀井戸までゆき。やや十二時すぐる頃帰(かえっ)て来ると。妻はあわてて予を迎え。今少し前に巡査がきまして牛舎を見廻(みまわ)りました。虎毛が少し涎(よだれ)をたらしていました故(ゆえ)鵞口瘡(がこうそう)かも知れぬと申して。男共に鼻をとらして口中をよおく見ました。どうも判然はわからぬけれど念のため獣医を呼んで一応見せるがよかろうと申して。今帰ったばかりです どうしまし
文字遣い
新字新仮名
初出
「ほとゝぎす 第四卷第五號」1901(明治34)年2月28日
底本
- 左千夫全集 第二卷
- 岩波書店
- 1976(昭和51)年11月25日