へんしゅうしゃこんじゃく
編集者今昔

冒頭文

この頃は回顧談が流行してゐる。昔の有名人の噂などはことに雜誌の讀者に喜ばれてゐるらしくも思はれる。讀者の喜ぶか喜ばぬかは別として、筆者自身いい氣持で書いてゐるらしい。芥川に關する回顧談、回顧的作品など、私の目に觸れただけでも幾つあつたことか。芥川龍之介といふ大正期の作家が、どれほど傑かつたにしろ、どれほど人間的妙味に富んでゐたにしろ、その噂はもう澤山だと云つた感じがしてゐる。私も幾度か芥川に會つて

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「群像 第九巻第二号」大日本雄弁会講談社、1954(昭和29)年2月1日

底本

  • 正宗白鳥全集第二十九卷
  • 福武書店
  • 1984(昭和59)年3月31日