うもんとりものちょう 33 しにんぶろ
右門捕物帖 33 死人ぶろ

冒頭文

1 その第三十三番てがらです。 朝ごとに江戸は深い霧でした……。 これが降りるようになると、秋が近い。秋が近づくと、江戸の町に景物が決まって二つふえる。角兵衛獅子(かくべえじし)に柳原お馬場の朝げいこ、その二つです。 トウトウトウトウ……ハイヨウハイヨウ……と、まだ起ききらぬ朝の静かな大気を破って、霧をかき分け、町を越えながら、朝ごとにけいこの声が柳原お馬場一帯

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 右門捕物帖(四)
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1982(昭和57)年9月15日