みみたぶのあな
耳たぶの穴

冒頭文

瀬川清子さんの見島聞書を讀んで、人はどうだか私だけは非常に面白がつて居る一條は、「蛇を平氣でつかむ人を、フヂワラトウと謂ふ。その人の耳の後には小さい穴があいて居る」といふ記事(同書八三頁)である。十數年來心がけて居るのだが、まだ此問題は一向明らかになつて居ない。本誌を仲立ちにして一度山國の人たちにも尋ねて見たいと思ふ。 曾て秋田縣の大館に一泊した晩に、館資次君といふ人が來て色々の話をせられた。

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「ひだびと 六卷八號」1938(昭和13)年8月

底本

  • 定本柳田國男集 第十五巻
  • 筑摩書房
  • 1963(昭和38)年6月25日