のうそんかぞくせいどとかんしゅう
農村家族制度と慣習

冒頭文

第一節 家族制度と勞働組織 一 序論 農業にはもと賃銀の要らない勞働組織があつた。その組織の下で働いて居たものは、少なくとも今日の小作人のやうな、生活不安におびやかされては居なかつた。今日、都市の勞働爭議の大部分は賃銀の問題である。小作爭議の大部分は小作人の生活不安から釀されて居る。斯かる時代に、賃銀の要らない勞働組織があつたとか、その組織の下にあつたものゝ生活が安定して居たといふことを言つた

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「農政講座二~四」農政研究會、1927(昭和2)年9月、12月、1928(昭和3)年5月

底本

  • 定本柳田國男集 第十五巻
  • 筑摩書房
  • 1963(昭和38)年6月25日