にがてとみみたぶのあな |
| にが手と耳たぶの穴 |
冒頭文
この現象は今ちやうど消えかゝつて居る状勢と察せられるから、まだ年よりたちに話してもらへるうちに、もう少し資料を集めて置きたい。前囘に報告した島根縣邑智郡の例の他に、鹿足郡の方には又斯ういふ話もある。田植に苗を束ねた藁、即ちナヘデ・ナウバ等といふものを、非常に尊重して粗末な取扱ひをせぬのは、全國一般の風習と謂つてもよく、たとへば其束の輪になつたまゝのまん中へ植ゑた稻は、成長してから大きな災ひをするな
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「民間傳承 八卷七號」1942(昭和17)年11月
底本
- 定本柳田國男集 第十五巻
- 筑摩書房
- 1963(昭和38)年6月25日