どうじとかみ
童児と神

冒頭文

プエブロを家とする赤色土人の赤ん坊と、金字塔の底に眠る埃及のミイラとは、同じ人間でも端と端との相異であるが、その姿が不思議なほどよく似てゐる。しかも雙方ともに自身には考へがなくて、これを愛するものがかういふ格好に、その體を包んでやるのである。かくの如き共通は偶然か、はたまた隱れたる理由があるのか。それを研究して見ようとする勇敢な學者が、あるか否かも自分はまだ知らぬが、兎に角に小兒の世界にはまだ神祕

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「大阪朝日新聞」1925(大正14)年5月18日

底本

  • 定本柳田國男集 第十五巻
  • 筑摩書房
  • 1963(昭和38)年6月25日