たましいのゆくえ
魂の行くへ

冒頭文

一 盆のお精靈を、山の嶺へ迎へに行くといふ風習が、大野郡下荒井の部落にあるといふ簡單な記事は、私たちにとつてはかなり貴重なものである。越前では今もまだ先祖の魂が、山の高い處に留まつて居て、盆にはそこから子孫の家を訪れて來るといふ信仰が、そちこちの山村に保存せられて居るのではあるまいか。何とかして誘導尋問の形でなしに、諸家の故老の言ふところを聽き集め、それを綜合して見たいものと思ふ。 昭和二十

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「若越民俗 五卷二號」福井縣民俗學會、1949(昭和24)年12月

底本

  • 定本柳田國男集 第十五巻
  • 筑摩書房
  • 1963(昭和38)年6月25日