もりせんせいのこと
森先生の事

冒頭文

森先生の事に關してわたしは一時にいろ〳〵の雜誌や新聞から執筆を請はれてゐるが、今の場合何を書いてよいものか殆ど考をまとめる事ができない。もすこし時日を經た後でなければ何も書く氣にはなれない。 森先生が六十年の生涯と其の間に研究された學藝とは宛ら百科辭典の如くに廣大なものである。 わたしの窺ひ知る事を得たのは僅に先生が文藝の一局面に止つてゐる。それさへ仔細に見ればまた頗る複雜なものである。文

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「明星 第二卷第三號」1922(大正11)年8月1日

底本

  • 荷風全集第十五卷
  • 岩波書店
  • 1963(昭和38)年11月12日