うもんとりものちょう 24 のろいのわらにんぎょう
右門捕物帖 24 のろいのわら人形

冒頭文

1 ——その第二十四番てがらです。 時は八月初旬。むろん旧暦ですから今の九月ですが、宵々(よいよい)ごとにそろそろと虫が鳴きだして、一年十二カ月を通じ、この月ぐらい人の世が心細く、天地蕭条(しょうじょう)として死にたくなる月というものはない。 だからというわけでもあるまいが、どうも少し伝六の様子がおかしいのです。朝といえばまずなにをおいても駆けつけて、名人の身のまわりの世

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 右門捕物帖(三)
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1982(昭和57)年9月15日