アテヌキというちめい
アテヌキという地名

冒頭文

『民間伝承』第十二号四頁の高木君報告に、当貫または苦楝木と書いて、アテヌキと呼ぶ地名が香取郡東部に多いとあるのは、自分には興味がある。苦楝は本名オウチ、すなわち古書に誤って樗の字を宛てている木のことで、一種その樹実の味苦いものが、薬用として知られているところからこう書くが、正しくは漢語に楝(れん)とあるものに該当する。参考書の多くは『古事類苑』植物部巻七に引用せられているから、ここに陳列する必要は

文字遣い

新字新仮名

初出

「民間傳承二卷二號」民間傳承の會、1936(昭和11)年10月20日

底本

  • 柳田國男全集20
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1990(平成2)年7月31日