さくらんぼ |
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冒頭文
さくらんぼうは彼女の唇を熱がるが、彼女の唇はさくらんぼうに涼もうとする。 さくらんぼうを三粒ほど束(たば)ねて女は男の頬を叩いた。その時男の決心がついた。彼女がそれを思い出している時小さいみか子が金魚にたべさせようとしてさくらんぼうを玻璃鉢(はりばち)のなかへ一粒いれてやった。金魚はそれを口で突つくが喰べられない。みか子はもどかしがり鉢の側で「ああん、とお口を開いて開いて」と教えている。彼女は
文字遣い
新字新仮名
初出
「週刊朝日」1932(昭和7)年6月5日
底本
- 岡本かの子全集1
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1994(平成6)年1月24日