マロニエのはな
マロニエの花

冒頭文

父親が英国好きの銀行家であるために初め一年間はぜひともロンドンに住み、それからあとは目的のパリ留学に向わして貰える約束を持った青年画家があった。いやいや住んでいるものだからいつもロンドンからパリに行くことをあこがれていた。その画家はパリにあこがれるのによくこういう言葉を使った。 ——おおマロニエの花よ」 そしてその花の咲くころその花の下で純なパリ娘と恋をするのだと楽しんでいた。 イギリ

文字遣い

新字新仮名

初出

「週刊朝日」1933(昭和8)年5月28日

底本

  • 岡本かの子全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1994(平成6)年1月24日