いずおおしまのはなし
伊豆大島の話

冒頭文

○ 大島の野増村にはシツナ神といふ女體の神があつて、近い頃までも稀には男を呪ふ女が祈願をかけたといふ話を聽いたが、本當のことであらうか。其神像は特に陰相を誇張した女姿であり、或は陰毛を拔いて神に祈つたといふ話もある。土地の歌にも、「しかながそゝ毛に掛けましよか」といふ文句があるさうだから、大和近江武藏下總其他に傳はつて居た七難の口碑と近似する所はあるのである。もし方法があるならば、今少しく事實を確

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「民族 第二巻第四号」民族発行所、1927(昭和2)年5月1日

底本

  • 定本柳田國男集 第一巻
  • 筑摩書房
  • 1963(昭和38)年9月25日