うもんとりものちょう 16 ななばけやくしゃ |
右門捕物帖 16 七化け役者 |
冒頭文
1 ——ひきつづき第十六番てがらにうつります。 事件の勃発(ぼっぱつ)いたしましたのは、五月のちょうど晦日(みそか)。場所は江戸第一の関門である品川の宿、当今の品川はやけにほこりっぽいばかりで、さざえのつぼ焼きのほかは、あってもなくてもいいような、場末の町ですが、このお時代の品川となると、いろいろな点から、なかなかふぜいのあったもので、上方から下ってきた旅人には、ほっと息をつくやれ
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 右門捕物帖(二)
- 春陽文庫、春陽堂書店
- 1982(昭和57)年9月15日