ぜにがたへいじとりものひかえ 244 たこのいとめ
銭形平次捕物控 244 凧の糸目

冒頭文

一 すべて恋をするものの他愛なさ、——八五郎はそれをこう説明するのでした。 「ね、親分、——笑わないで下さいよ——あっしはもう」「どうしたえ、臍(へそ)が痒(かゆ)いって図じゃないか」「臍も踵(かかと)も痒くなりますよ。二年越し惚れて惚れて惚れ抜いた同士が、口説(くど)きも口説かれもせず、思い詰めた揚句の果、男の方も女の方もどっと患(わずら)いついたなんて古風な話が、今時の江戸にあるんだから—

文字遣い

新字新仮名

初出

「サンデー毎日」1950(昭和25)年12月

底本

  • 銭形平次捕物控(九) 全十冊
  • 角川文庫、角川書店
  • 1958(昭和33)年6月20日