ぜにがたへいじとりものひかえ 168 きけいのまめ
銭形平次捕物控 168 詭計の豆

冒頭文

一 「親分、四谷忍(おし)町の小松屋というのを御存じですか」「聞いたことがあるようだな——山の手では分限(ぶげん)のうちに数えられている地主かなんかだろう」 銭形平次が狭い庭に下りて、道楽の植木の世話を焼いていると、低い木戸の上に顎(あご)をのっけるように、ガラッ八の八五郎が声を掛けるのでした。 「その小松屋の若旦那の重三郎さんを案内して来ましたよ。親分にお目にかかって、お願い申上げたいことがあ

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1947(昭和22)年7月号

底本

  • 銭形平次捕物控(九) 全十冊
  • 角川文庫、角川書店
  • 1958(昭和33)年6月20日