かんごくしょのうら
監獄署の裏

冒頭文

われは病いをも死をも見る事を好まず、われより遠(とおざ)けよ。世のあらゆる醜きものを。——『ヘッダ ガブレル』イブセン ——兄(けい)閣下 お手紙ありがとう御在(ござ)います。無事帰朝しまして、もう四、五カ月になります。しかし御存(ごぞん)じの通り、西洋へ行ってもこれと定(さだま)った職業は覚えず、学位の肩書も取れず、取集めたものは芝居とオペラと音楽会(コンセール)の番組(プログラム)に女芸人

文字遣い

新字新仮名

初出

「早稲田文学」1909(明治42)年3月

底本

  • 雨瀟瀟・雪解 他七篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1987(昭和62)年10月16日