かいとのはなし
垣内の話

冒頭文

一 垣内(カイト)は思いのほかこみ入った問題であった。最初からもしこれがわかっていたら、あるいはまだしばらくは手を着けずにいたかもしれない。私たちが興味を持ち始めた動機は、 (一)垣内が日本のかなり弘い区域にわたって、分布している事実または少なくともその痕跡(こんせき)であるにもかかわらず、これに気づいている人はまだ少なく、今までに発表せられた二三の研究、たとえば小川、中山、野村氏等のそれは、

文字遣い

新字新仮名

初出

「民間伝承十二卷八・九號」1948(昭和23)年9月

底本

  • 柳田國男全集20
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1990(平成2)年7月31日