うもんとりものちょう 10 みみのないろうにん
右門捕物帖 10 耳のない浪人

冒頭文

1 ——今回は第十番てがらです。 ところが、少しこの十番てがらが、右門の捕物(とりもの)中でも変わり種のほうで、前回にご紹介いたしました九番てがらの場合のごとく、抜くぞ抜くぞと見せかけてなお抜かなかったむっつり右門が、今度ばかりはほんとうにあの細身の一刀を鞘(さや)走らせて、切れ味一品のわざものにはじめてたっぷり人の生き血を吸わすることとなりましたから、いよいよ右門の捕物秘帳は、こ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 右門捕物帖(一)
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1982(昭和57)年9月15日