たきみのたび
滝見の旅

冒頭文

七月十五日は根岸庵の会日なり。十七日にいでたたんと長塚に約す。十六日夕より雨ふりいでて廿日(はつか)に至りて猶(なお)やまず。 長雨のふらくやまねば二荒の瀧見の旅を行きがてにすも根岸庵よりされ歌来る。 藁ずきの紙にもあるか君が身は瀧見に行かず雨づゝみするかえし 雨雲のおほひかくさば二荒山行きて見るとも多岐見えめやも此(この)夕長塚来りて、雨ふるとも明日は行かん、という。古袴など取り出でて十年昔の書

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本」日本新聞社、1900(明治33)年10月26日、27日

底本

  • 左千夫全集 第二卷
  • 岩波書店
  • 1976(昭和51)年11月25日