わたしもこうえんをした
私も講演をした

冒頭文

圓本續出の時代にはこの宣傳に利用されたためか、文學者の講演が盛んであつたが、このごろはあまり流行しなくなつた。文筆業者のうちでも、新聞記者とか政治、經濟の評論家とかいふ種類の人々は、演説にも馴れてゐて、自然上手になつてゐる譯だが、小説家や詩人のやうな純文學者は概して演壇向きでないやうである。だから聽衆の方でも知名の文人の顏を見るだけの興味で會場へ行くので、演説そのものに感心することは甚だ稀なのでは

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「週刊朝日 第二十二巻第二十六号」朝日新聞社、1932(昭和7)年12月4日

底本

  • 正宗白鳥全集第二十七卷
  • 福武書店
  • 1985(昭和60)年6月29日